nakaji tips 「スイムの腕の動きを解剖」
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動きを習得するためには、何度も修正を繰り返し、身体に覚え込ませる必要があります。
筋肉の中にある感覚受容器(筋肉がどの状態にあるのかを感じるもの)が動きを感じて、正しい動きかどうかを感じて、覚えてゆくのですが、大人はその動きを頭で理解しようとします。
ということで、今日は動きを言葉にして説明したいと思います。
スイムの一番難しい動きは、何といっても「肘を立てる動作」。
いきなり「肘を立てる」という動作が理解しにくいですね。
入水した直後は肘が伸びた状態で手の先は前を向いています。
(上の写真の前にある腕)
そこから、肘の高さは変えずに、肘から先をプールの底に向ける動作を「肘を立てる」と言います。
この動作が難しい理由を説明しましょう。
入水の直前から肘を伸ばしながら、水の中に手、腕を入れていきます。
入水すると手の平は下を向いた状態で、肘の内側(シワがある方)は、斜め内側の上方向を向いています。
肘の位置を変えずに、このまま肘を曲げると肘から先(前腕)は斜め上を向いてしまいます。
同時に水を掻こうと肩を動かすと、肘から先に後方に動いてしまいます。
いわゆる肘から引く動作です。
"万歳"をして手のひらを前に向けたまま、肘を曲げると肘から先は後方、斜め内側に曲がってしまいます。
では、肘を曲げたら、プールの底を向くようにするためにはどうしたら良いでしょうか?
■肩の関節を内旋させる必要。
「肩の内旋」と言われてもわからないですね。
前ならえの状態から手のひらを下に向け、さらにそのまま外側を向けます。
親指を内側に向けて、そのまま捻って下に向ける動作です。
肘から肩の腕を上腕と言うのですが、上腕を内側に捻る動作を肩の内旋と言います。
肘を曲げると同時に上腕を内側に捻る(内旋する)必要があります。
さらに難しくしているのが、手のひらの向きです。
上腕を内側に捻りながら、手のひらはプールの底を向けた状態を維持する必要があります。
上腕を捻りながら、手のひらの向きが変わってしまうと、水を外に押して身体が左右に蛇行してしまいます。
プッシュ動作(最後に水を後方に押す動作)の後半に入るまで、手首の角度、肘から先は一本の棒になるようにすることがまっすぐ効率よく前に進むために大切なことです。
肩、肩甲骨周囲の柔軟性が高いとバンザイした状態(入水直後)で肘の高さを変えずに、上腕を内側に捻ることができます。競泳経験者と肩の柔軟性がとても高い人以外は、なかなか難しい動作。
ですので、肘を少し外に動かしながら、上腕の内旋を行うと楽に動かすことができます。
「外に動かす」と言うのは違和感があるかもしれませんが、身体がローリングしていれば、肘は身体の真下にきます。
9月にアップしたコラムの写真を見てください。
肩と肘の位置関係がわかると思います。ローリングがポイントです。
プル動作、プッシュ動作、リカバリーについては改めて解説します!
■改善方法は....
まず、ストレッチングで肩、肩甲骨周囲の柔軟性を高めて、動きやすくしてあげてください。
そして、陸上でチューブトレーニングで、肩、肘、手首の向きをゆっくり確認しながら、正しい動作を何度も繰り返し、身体に覚え込ませます。
さらに、水の中でスカリングなどのドリルを入念に行って、水中で水平になった姿勢という特殊な状況下でも正しい動きができるように身体に覚え込ませて行きましょう。
他にも腕の動作を解説している過去の記事こちらもご覧ください。