nakaji tips「ギアチェンジをもっと考えよう」
トライアスロンをもっと楽しむための情報を発信しています。
あるエリート選手の強化合宿で、ベテラン選手と大学生のライド中の会話です。
「●●さん、今日はギアチェンジのタイミングを後ろで合わせて乗らせてもらったら、すごく楽に速く走れました。」
上手な人たちと走って、同じようなタイミング、回数でギアチェンジをすることで、バイクの快適性が大きく変わります。
前2枚、後11枚(12枚の製品もある)のギアを駆使することで、かなり楽に速く走る事ができるのですが、エイジグループのみなさんと一緒に乗ると、上手にできてない事を感じることが多いですね。
前(フロント)に2枚あるギア、後(リア)にある11枚(12枚)をタイミングよく変えるのと、多少の緩やかな坂を強引に重いギアのまま走ったり、もうちょっと重いギアで走れるのに軽いギアのまま、クルクル回して走るような事をしていると、後半の疲労やタイムに大きく影響してしまいます。
走りながら、「今、どこのギアで走っているのか?」を気にしながら走り続けることで、「この勾配で、このスピードだとこのギアに入ってるはず!」と確認しなくても走る事ができるようになります。
「ギアチェンジの回数が増える = 楽をして(速く)走る」と言っても過言ではありません。
■早めのチェンジ
できるだけ同じペダル回転数をキープするように、少しの変化で小まめにチェンジするようにしましょう。
パワーメーターを使っている人は、上がりすぎたり、下がりすぎたりしないように、同じくらいのパワーとペダル回転数を維持できるようにギアチェンジをします。
目の前の道が登っていたり、下っているのが見えているので、予測は可能だと思います。その変化に差し掛かったところでギアチェンジをします。
また、脚にかかる負荷が完全に「重い!」と感じる少し前、ちょっと重くなってきたと感じた瞬間にチェンジをするようにしましょう。逆に、脚が軽くなって、回転数が上がり始める瞬間に重いギアにチェンジするようなタイミングを心がけてください。
足が重くなってから、回転数が速くなってからではなく、その前にチェンジです!
■ 難しいフロントチェンジのタイミング
フロントのチェンジのタイミングが難しいところです。
チェーンが外れてしまうトラブルを防ぐために、フロントギアのチェンジは、踏み込みを少し緩める事がポイントです。
特に上りで、グイグイ踏み込んでいるタイミングでは、チェーンに大きな引っ張る力が加わり、一本の棒のような硬さになっています。その際に横方向の力が加わるとスムーズなペダリングを妨げるだけでなく、チェーンが外れてしまったりします。
上りに差し掛かったところでフロントをインナー(内側の小さいチェーンリング)に変えましょう。それと同時にリア(後ろ)のギアを2~3枚重くすると急な負荷の変化を避ける事ができます。
私は、フロントを変える直前に、リアのレバーをカチカチっと2~3枚動かしてから、フロントギアの操作をします。
上りが終わったらまずリアのギアを変えてスピードを上げてゆきます。
スピードに応じてリアのギアを数枚重たくした状況で、その後のコースが、下りだったり、しばらく平地でスピードを上げる事ができそうだったら、フロントをアウター(外側の大きいチェーンリング)に変えます。この時も、リアのギアを2~3枚軽くすることでスムーズに走る事ができます。
電動シフト(Di2)の普及でギアチェンジの回数が増えました。特にフロントのチェンジの回数が楽にできるようになりましたので、その分パフォーマンスが上がっているという話も聞いた事があります。
ポイントは、フロントを変える際には、リアを操作して2~3枚変えること。そして、フロントを(本当はリアも)チェンジするときは、ペダルにかける負荷を少し緩めます。
■仕組みを知っておこう!
自分のバイクにどんなギアが着いているのか?ご存知ですか?
これも「いくつのギアが付いてますか?」と聞くと分かってない人が多いんですよね。。。
クランクの長さ、ギアの数など理解することで、それらを動かす意識が高まります。
前の2枚のギアの数は、外側が53、内側が39という組み合わせ(「53-39」って言います)や、52-36、50-34などが主流です。
後ろは11-28が主流で、脚に自信がない人には、11-30、11-32というものもあります。
みなさん、自分のバイクに何が付いてますか?確認してみてください。
さて、みなさん数字をみた瞬間に拒否反応を起こして、読むのが嫌になってませんか?笑
でも、ここをちょっと理解しようとすることで、ギアチェンジの必要性をさらに認識していただけると思っています。
下の図をみてください。
スクリーンショット 2021-07-30 9.15.10.png
上はペダルがついている輪を一回転させると図の左にある輪も一回転
下はペダルがついている輪を一回転させると図の左にある輪も二回転する
フロントとリアのギアの歯数が同じ(1:1)の場合、ペダルを一回転させると車輪は一回転します。ペダル一回転で車輪が一回転って進む距離が少ないので、抵抗も少なく楽になりますね。
ところが、その日が「2:1」となるとペダルを一回転させると車輪が二回転します。体重と自転車の重さのものをより多く前に進めるので、少し大きな力が必要になりますね。[4:1]になるとペダル一回転で後輪を4回転させる事ができますが、さらに大きな仕事をしなければなりません。
多くの方が急な坂道を登っている時に使っているギアは、フロントが34、リアが28ですね。このギア比だとペダル一回転で車輪が1.21回転となります。心肺持久力と筋持久力が高まりリアの歯数が17になると2:1となり、ペダル一回転で車輪が二回転します。
一般的なロードバイクだと、車輪が一回転すると2.1mほど進みます。リアが28と17では、ペダル一回転で2m弱の差がつくという事が分かりますね。
先ほどの34-28だとペダル一回転で2.6mほど進みます。リアを一枚重たくして34-25にすると2.9mほどになります。ペダル一回転で30cm。同じペダル回転数/分で10回転させるとその差は3mになりますね。
■タイプによってギアの変え方を考えよう
6月にアップした記事にも書きましたが、トレーニングは自分の筋力や持久力のタイプによって変えて行ってみてください。
筋力が弱く、どうしても軽いギアにしないといけないという方は、いつもより一枚重たくして登るようなトレーニングを積極的に取り入れましょう。
逆に重たいギアでグイグイ踏み込む事が得意な人は、軽いギアにして回転数を上げるようなトレーニングを積極的に取り入れてみてください。もちろん、その反対のトレーニングも合わせて行うことで、得意な部分を伸ばしながら、苦手な面を克服するということになります。
トライアスロンの場合、その後のランニングへの影響を考えた走り方が重要です。それも意識しながらギアチェンジについてもう一度考えてみてください。
「ギア比と回転数、ペダルを踏む力気にしてますか?」