nakaji tips「レース中、お腹の調子悪い!」
トライアスロンを楽しむために役に立つ情報を毎週配信しております。
みなさんに頂いた質問にお答えします!
ロングのレースに出場して、「レース中に胃腸の具合が悪くなって思ったように走れなかった...。」という声をよく聞きます。
私の知っているトップアスリートでも、毎回トイレに駆け込むことで順位を落とすという選手もいました。
「レースの直前に何を食べたら良いの?」という質問もよくありますので、その辺も加味してお答えしたいと思います。
胃腸って、とてもデリケートな臓器で身体の様々な変化によってダメージを受けやすいと聞いたことがあります。
少し胃腸に負担がかかる項目をチェックしたいと思います。
■レースの準備、移動の負担を考慮する
ロングのレースは、海外、もしくは離島など日常生活から離れた環境で行うことがほとんどです。
ロングのレースは宿泊、長時間の移動を伴う事が多い
仕事を休むために、その前は少し残業が多くなる
移動の準備、レースの準備など睡眠時間を削ったり、不規則、睡眠不足になりやすい
海外など時差もあり、生活のリズムがかわり、睡眠不足にもなりやすい
仲間との移動は、気を遣うことで疲れる事もある
食べ物とは関係ありませんが、これだけで胃腸への負担は大きくなり、機能が低下してしまいます。弱い人は、これだけで違和感が出たり、食欲が減ったりする人も出てしまいますね。
移動、準備に伴う時間を考慮した行動計画を予め考慮しておくことや、準備、買い物、移動に時間がかかり、生活が不規則になることを考慮して、早めに準備を始めたり、睡眠時間を十分に確保しながら、生活する事を心がけることで胃腸への負担を減らすことができるかもしれません。
■食生活が変わる
移動先では、食事もほとんどの場合、外食になりますね。選択肢が多い場所であれば良いのですが、限られた選択肢の中から食べるものを決めなければならない場合もありますね。
外食になると脂質が高めになる傾向もあり、脂質が高いと胃腸への負担も大きくなりがちです。流石にレース前日は避けるでしょうが、仲間と行けば移動中やにお酒を飲む機会も増えますね。
■レース前日
講習会などでレース前日、当日の食事について質問を受けた場合の答えとして、
「翌朝(レース当日)の朝に空腹感があるくらい、脂質を控え、胃腸に負担がかからないものを選びましょう」というお話をしました。レースの朝にしっかり食べられることが一番大切です。
少し炭水化物を多めに取るような食事を選べると良いのですが、クリームソースたっぷりなパスタを大盛り食べるとお腹に負担がかかりますので注意が必要です。
キャンプや非常時のためのアルファ米や水やお湯で調理できるお餅、糖尿病の方のためのレトルトなどを持参して、レース前日、当日の食事にする人もいるようです。(トップアスリートのほとんどはアルファ米を活用しています)
■運動中のストレス
「運動誘発性胃腸症候群(exercise induced gastrointestinal syndrome;EIGS)」に関する論文には、運動前や運動中の食物繊維、脂肪、蛋白質の摂取制限を推奨すると書いてあったりします。
また、「FODMAP(fermentable:発酵性、oligosaccharides:オリゴ糖、disaccharides:二糖類、monosaccharides:単糖類、polyols:ポリオール)」を多く含む食品は、過敏性腸症候群の原因の一つであり、控えめにすることで負担を減らすことができるかもしれません。
運動をすると血流が筋肉に増え、胃腸への血流量が減ると言われています。また、運動をすることで分泌されるストレスホルモンのコルチゾールは、アスリートの腸への関係性も指摘されています。
また、水を多く飲みすぎることで起きる「水中毒」というのもレース中の吐き気や下痢の原因とも言われています。
「水中毒」とは、水分を大量に摂取することにより、血液中のナトリウム濃度が低下し、「低ナトリウム血症」になってしまうことで、めまいや頭痛、下痢などの症状があり、悪化すると吐き気や嘔吐、さらには意識障害、呼吸困難などの症状が現れ、死に至る場合もあります。
熱中症予防のために水を飲めと言われますが、スポーツドリンクなどナトリウムが含まれたモノを摂取することも大切ですね。
運動中の胃腸への負担を軽減するために乳酸菌を摂取するとか、正常な腸内細菌細菌が負担を和らげるという研究もあるようです。
ということは、一番上に戻って、日常の食生活や規則正しい生活、睡眠時間の確保が大切ということになりますね。
胃腸が弱いと自覚している人は、規則正しい日常生活、胃腸に優しい食生活を送るようにすることが、レースへのパフォーマンスに好影響を及ぼしてくれるかもしれません!
みなさん、質問待ってまーす。