nakaji tips「レース中盤のツラさは脳の仕業?」
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「だったら最初からもっと速く走ってれば良いのに...」って、フルマラソンのフィニッシュ手前でラストスパートをする人を見て思ったことありますよね?
「あんなに疲れていたのにラストスパートはできる」というのは、脳の影響があるという説があります。「セントラル・ガバナー・モデル」というそうです。
科学的に考えると、エネルギーは徐々に使われ、筋肉の疲労も少しずつ蓄積されて、後半ほどペースが落ちるはずです。しかし、皆さんもフルマラソンやトライアスロンのレースで「中だるみ」を経験した事があるかと思います。残り5kmになるとペースが安定して速く走れる...なんて経験ありますよね?
バイクのFTPテストやスイムのT-30テストなどトレーニング強度を設定するために行う20~30分最大努力を続けるテストでも、ほとんどの人に"中だるみ"が見られます。
この説によると「脳は、体の損傷を防ぐために、損傷するレベルに行く前に疲労を感じさせて、運動を制御させる」という事です。
脳は、生命を維持させ、身体を損傷させないようにするために、神経がコントロールする筋繊維、グリコーゲンの貯蔵量や心臓、肺を動かす筋肉を過去の経験から無意識のうちに運動強度を調節するそうです。
同じスピードで走っていても、長い距離を走り続けると心拍が上がってきたりするのはこの影響なのかもしれませんね。
ということを考えると、フルマラソンやトライアスロンの前半にオーバーペースでレースを進めると、前半部分での身体状況を脳が察知し、実際の体力の消耗だけでなく、脳の指令によって中盤、後半のペースを落とす原因となりますね。様々な研究で、持久系スポーツのペース配分は、イーブンか後半ペースアップするネガティブペースの戦略が良いというのも合致します。
■調整を繰り返して脳に覚え込ませる
先ほどの激しいラストスパートは、一般ランナーのフィニッシュ前に多く見られ、トップアスリートのレースでは、ラストスパートをしているイメージがありませんね。トップアスリートは、トレーニングを多く行い、自分のセントラル・ガバナーの調整を繰り返しているので、脳が「疲れそうだから運動を制御しろ」という指令を出さなくなるのだと思います。日頃からペースを意識し、トレーニングを続けることが、身体だけでなく、脳へにも好影響を与えてくれるのですね。
同じ環境、同じペースで走っていても誰かと一緒に走るといつもより楽に走れたりしますね。
これは脳に「楽しい」という感覚があるからではないでしょうか。脳のトレーニングをした後に体力テストを行うと成績が良くなったという研究発表があります。
脳を楽しい方に集中させて走り続けると、制御されずに良いペースで走り続ける事ができるのかもしれません。
レースの時に応援の人が多かったり、いつもと違う景色を楽しみながら走るとタイムが良かったりしますね。逆にツラい時に下を向き、怖い顔をして走っているともっとパフォーマンスが落ちます。ツラくても前を向き、口角を上げて笑顔に近い形で走るとパフォーマンスが上がるかもしれません。
■ペースを意識する習慣
日頃からペースを考え、頑張りすぎず、楽しく走れるようなペース配分を身につける事って大切ですね。
走りながら実際のペースや心拍と自分の感覚を合わせる作業をしてください。「このペースは楽だな」「このペースはちょっとツラい」「ここまであげるとツラい」という感覚を呼吸のリズムと筋肉の状況、全身的なツラさの感覚を常に感じるようにしましょう。
ビルドアップ走やペース走を積極的に行って、体力レベルをあげるだけでなく、ペース感覚も養ってください。
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