青森県中泊町「津軽海峡交流フェスタ2025」のイベントとして、白戸太朗をリーダーとする「Ojisans 5」のメンバーが津軽海峡の横断泳にチャレンジ。
結果は海流に流され、65㎞泳いだところで時間切れとなり断念となりました。
今回のチャレンジにご支援ご協力頂いた皆様に感謝するとともに、チャレンジの模様をご報告させて頂きます。
*プロローグ
「津軽海峡」。
オープンウォータースイムをやる人にとっては、必ず出てくる世界屈指の海峡。
日本人として、"一度は富士山に登りたい"、"津軽海峡を泳ぎたい"というと言い過ぎか。
ともあれ、そんな思いが中泊町との出会いとなり、今回のお話となった。
白戸太朗を中心に集まったメンバーは、全員経験豊富な50代。
「Oceans11」ならぬ「Ojisans 5」は日本人とハワイ在住のアメリカ人、スロバキア人の国際チームとなった。
泳力的には問題のないメンバーではあるが、とにかく低温対策が必須で、様々練習場所を探すが、すでにどこも水温が高く、馴化トレーニングは現場に入ってからとなった。
*現地入り
7月4日に現地入り。
早速泳いでみると、水温は22度程度と予想より高め。水質は良好。
7月5日
町の担当、船の佐藤船長とチームメンバーでミィーティング。
開催日である翌日の海の天候について情報交換しながら、開催の是非を議論。
最終的に、より条件の安定する7日に遅らせることで決定。
天候によって大きく条件が変わる海峡横断、とくに津軽の難しさを痛感。
7月6日
朝一番にスイムトレーニング後、町の「津軽海峡交流フェスタ」に参加。
ステージで紹介いただき、明日に向けてのPRなどもさせて頂いた。
また、海峡横断に関わる人々とお話しをすることが出来、有意義な時間であった。
*チェレンジ!
7月7日 横断泳実施日
日の出スタート予定なので、朝の3時半乗船し、スタートポイントの権現崎に向かう予定だったが、まだ風が残っているとのことで1時間遅らせることに。
4時過ぎに乗船し出発。この時点で風はあり波もあるが、ここから収まるという予報を信じスタートポイントへ。
4:53に第1泳者のスティーブが、飛び込み岩場に一度上陸し、正式にスタート。
まずは30分交代で泳いでいくこととし、順調に進みだす。
最初の2時間は少々波があったものの、徐々に収まり、順調なクルーズに。
水温もまだ21度程度あったので、泳ぎ終わり、きちんと暖を取り、エネルギー補給をして、甲板の端で毛布にくるまり休むというのを繰り返す。
しかし、すでにこの8時あたりから、予定より東に流され始めていいた...。
4時間を過ぎたころ、距離的には半分程度だがやや東にいるので流れに逆らわず、流されながら少しずつ北海道に近づいていくルートに。
この後から、水温も少しずつ下がりだし、20℃を下回りメンバーへのダメ―ジにつながっていく。
泳いでいる時は我慢できるものの、上がってきたら震えが止まらず、かなり厳しい状況に。
海流に対応するためにもローテンション時間を15分に変更し泳ぎ続ける。
15時を過ぎたころ、北海道に近づくより、横に流されるスピードが速くこのままではたどり着けないという危機感。
現在地、海流スピード、残り時間などを何度もシュミレーションし、このままでは日没までにたどり着くことは困難と判断。
16時前に、チームとして中断を決意し、中泊に撤収開始。
Ojisans5の挑戦は終了した。
*振り返り
5日のミィーティングで、東に向かう海流が早いことは認識。
前半をしっかり西に向けてルートすることは確認していたのだが...。
船長さんとの認識のずれや、海流スピードが3ktを超えているなど、現場調整能力が足りていなかった。
結果65㎞を泳いだにもかかわらず、北海道に近寄れず、海流の怖さを思い知った。
ちなみにこの翌日の海流は1.1kt、風もなく最高のコンディションだった。
この海峡横断は、天候などの運、海流を見ながらのルート取りがいかに大切であるかがあらためて良く分かった。
*まとめ
自然と対峙し、自然に挑戦する難しさ、素晴らしさをあらためて感じさせてくれた挑戦であった。
海で泳ぐ厳しさと魅力を体験出来たことは、今後の活動に大いにつながるだろう。
しかし、我々の挑戦が果たせなかったのも事実。
ただ、このようなチャレンジは、本当に多くの方の支えや準備があってこそ出来るもの。
そうでなければ、命をかけた挑戦などすべきではない。
だからこそ軽々しく、「再挑戦」など口走れないが、もし機会があれば、今回の反省を生かし、天候を丁寧に待って、成功させてみたいというのは本音である。
そんな日が来るまで、まずはこの経験を多くの方に伝え、海の素晴らしさ、津軽海峡の壮大さを広め、それぞれの活動を重ねていきたい。
ご支援いただいた皆様、ご協力頂いた皆様にあらためて感謝申し上げます。
有難うございました。
文責 白戸太朗
*資料
◆津軽海峡横断泳
日本列島の北端、青森県と北海道を隔てる「津軽海峡」。
この海峡は、世界の海峡横断遠泳チャレンジの最高峰「オーシャンズセブン(Oceans Seven)」※1のひとつにも数えられる、世界屈指の難関ルート。
距離は"直線距離"で約30km。
さらに海流の激しさで通常は40kmほどの距離にもなる大変な海峡。
さらに、以下のような過酷な条件が立ちはだかる。
水温は真夏でも16〜19℃前後。
長時間泳ぐには極めて冷たい環境。
潮の流れが非常に速く複雑。
渦のような潮流や横流れも多く、泳ぐ方向すらままならない、挑戦時間は平均して10時間以上。
日々変わる天候や海流を予想し、対応していくのも非常に難しい。
船・飛行機以外では渡れない"本物の海"。
途中で陸地は一切見えず、海のど真ん中を泳ぎ続ける。
日の出から日の入りまでが制限時間。
この間に泳ぎ切る必要がある。
※1:7つの海峡は①ドーバー海峡、②カタリナ海峡、③クック海峡、④ジブラルタル海峡、⑤津軽海峡、⑥モロカイ海峡、⑦ノース海峡(順不同)
◆チーム名
Ojisans 5(おじさんず ふぁいぶ)
◆メンバー
・白戸 太朗
日本のトライアスロン界を牽引してきた第一人者。
アイアンマン世界選手権(KONA)には過去24回出場し、30年以上にわたり挑戦を続けてきた。
現在はアスロニア代表として競技普及や地域振興にも尽力し、"挑戦する姿勢"を体現し続けている。
・LEHOCKY MAREK
数多くの海峡横断を経験してきた国際的オープンウォータースイマー。
特にハワイを拠点とした長距離スイムにおいて実績豊富で、厳しい自然条件を乗り越える戦略と経験に長けた実力派。
・MINAGLIA STEVEN MICHAEL
ハワイで最も多くの海峡横断(41回)を成功させたスイマーで、2025年にはハワイ水泳殿堂入り予定。医師としての知見と遠泳の安全設計にも精通し、世界各地でのスイムを主催・実施。まさに海を知り尽くしたトップオープンウォータースイマー。
・松井 大
自然を舞台にしたトライアスロンレース「エクステラ」や、国内外の大会で活躍するマルチアスリート。豊富な経験とタフメンタルを兼ね備える猛者。
◆挑戦日 (天候の関係で1日遅らせた)
2025年7月6日(日)→ 7月7日(月)に変更
(出発)4時53分
(終了)15時50分
◆使用機材
スイムゴーグル
SWANS ASCENDER オープンウォーター調光モデル
ベースがクリアで、太陽が出てくるとスモークになるため、変化が激しい今回の挑戦に最適なゴーグルであった。
スイムキャップ
SWANS シリコーンキャップ SA-10S
柔らかく、かぶりやすく、防寒の為の重ね被りにも有効だった。
エナジーフード
In Energy BCAA
In ゼリー完全栄養
In Protein Bar Meal
時間や場所が限定される中、エネルギーを取らなければリカバリーもしない、寒さにも負ける状況の中で、フル活用させて頂きました。
◆想定コース
青森県中泊町 小泊権現崎 → 北海道福島町沿岸 ※約40km
実際のコース
2025.07.11 |
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