IRONMAN World Champion Ship Nice France レポート
白戸太朗
初めて、アメリカ以外で開催されるアイアンマン世界選手権。
そして男子だけの開催という事で、どんな大会になるのか注目されていた。結果として、NICEの街としてのポテンシャル、ロケーションが大会を大いに盛り上げ、過去になかったような魅力を放った大会だったと思う。
もちろん、コースはタフだし、例年とは異なる雰囲気であったが、バイクに関してはよりハイレベルなレースで、世界戦にふさわしい大会だったのではないか。
恐ろしく青くて綺麗な海は水温が微妙で、当日の朝にノーウエットとなった。やはり世界のレースは様々な条件、状況があるので、幅広く準備しておかなければならない。まあ、こんな海で泳げるのだから幸せだけど。僕にとって、アイアンマンのスイムはウォームアップの位置付け。「速く」よりも「スムーズ」を心掛けて泳ぐ。
メインディッシュはバイク。
10㎞手前から上りはじめ、標高1200m超まで上り、そこから一旦下って、また上り返す獲得標高2427mというアイアンマンでは屈指の山岳コース。ツールなどでも使われるまさに"自転車を楽しめるコースで、無理しても走り切れるものでもないので、じっくりと!?
今回、このコースに対応すべく、バイクをTTではなく、Ventumのロードレーサーをチョイス。おかげで登りはもちろん、なにより下りで大いに助かった。
もちろん上りはタフだが、それ以上にその後の下りもタフ。
アメリカのコースのような単純な下りではなく、コーナーが続き、路面もどんどん変わり、そして長い。緊張しすぎると手や肩が痛くなるし、しないと危ない!?
そんな下りを、他の選手はガンガン攻めていく。こうしたコースになると、ホイールとタイヤ、空気圧などが重要になり、より自転車のコントロール技術が必要になる。きちんと走り切るためには、普段から山をしっかり走っておく必要があるだろう。まあ彼らの考える自転車競技というのはこういうものなのだ。
ランは海岸線を4往復。
フラットで、応援も多く、距離を把握しやすいが、単調になりやすい。
最近の世界的な傾向は、ランは周回で応援と運営をしやすくしているようだ。
とはいえ42㎞なので、暑さ、苦しさの我慢と、速く走りたい自分への我慢のバランスが大切。なんとか耐え抜いてフィニッシュを迎えることが出来た。
ヨーロッパでのハイレベルなバイクパート。そしてアイアンマンの総合的なレベルは年々上がっている。でもアイアンマンの目標は「速く」だけではない。「フィニッシュ」という大きな目標もある。ここは世界戦だから仕方ないけど~。
もう一つ今回感じたのは、日本の存在感の低下。
プロはいないし、世界戦出場者も昔に比べて減っている。
競技レベルも経済力も世界に対して水をあけられているのをひしひしと...。
日本経済を諸外国並みに!というのは僕たちでは難しいけど、アイアンマンの世界で日本のプレゼンスを上げるべく頑張らないとなぁ~と思いながら帰国の途につきました。
応援頂いた皆様、有難うございました!